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今回は佐伯祐三について記載してみます。
東京美術学校(現・東京藝術大学)を卒業した後、妻と子どもとともにパリに渡り、そこで生活をし、街並みのパリらしさを形成している多くの「建物」を独特のタッチで描いていた佐伯祐三ですが、最後に描いたのは、人物でした。大きな目や鼻、明るめの髪の毛の色…この少女は、ロシア亡命貴族の娘でした。黄色の背景と、白・赤・青・緑・黄色など鮮やかな色彩のロシアの民族服や首飾りが、印象的です。
服の中の模様、その大胆な描き方からは、佐伯祐三の筆さばきの速度、早さが伺えます。そして、そのモデルの表情は、亡命してきたという身の上からか、どこか寂しそうな、せつなそうな、目が離せなくなるような表情が描き出されています。若くしこの世を去った天才画家の佐伯祐三が、生前に遺した最後の作品であり、鮮やかさや踊るような線など、佐伯祐三らしさに溢れた作品となっています。落ち着いて寛げるスペースなどのアクセントにもピッタリの、個性的な作品です。
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