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今回は佐伯祐三「郵便配達夫」について記載してみます。
30歳で夭折した佐伯には、最後の魂を振り絞るような起死回生の1枚があります。
人生最後期に描いた、一番有名で、代表作と言われる「郵便配達夫」です。同じ郵便配達夫をモチーフに描いた作品は、もう1枚「郵便配達夫Ⅰ」があったのですが、佐伯の没後に、空襲の戦火で焼失し、残っているのがこの「郵便配達夫」になります。佐伯逝去の5カ月程前、その人はやって来ました。重病からの僅かな恢復時間に偶然訪れた、白髭の郵便配達夫です。創作意欲が沸いた佐伯は、モデルにと頼みます。正面を凝視し、直線の強いフォルムは、何とか書き上げようとする佐伯の渾身の力が見てとれます。
輪郭線を描くのは、佐伯の特長の1つである他、この絵の中にも、お馴染みのポスターが登場しています。構図が傾斜しているのは、当時患っていたメニエール病だからとも言われています。妻の米子による後の回想で、この郵便配達夫は後にも先にもこの1回しか現れず、神様ではなかったかと言っています。人気の高い佐伯作品を飾るチャンスに、1枚いかがでしょうか。
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