クリムト「死と生」

絵画販売ドットコムのブログをご覧いただきありがとうございます、ブログ担当の松田です。
今回はクリムト「死と生」について記載してみます。

世紀末のヨーロッパの象徴主義を代表する画家でもあったクリムトは、その天性の能力を生かし、若干十代にして、すでに画家としての成功を収めていたとも言われ、とりわけ金箔を施して描かれた作品は、言わば彼独特の描写手法であって、絵画の人物をより豪華な雰囲気にさせています。実際、クリムトの作品に登場する女性のイメージは、金色の色彩に包まれた優美さと、それとは裏腹にミステリアスな雰囲気も漂っていますが、晩年の作品でもある「死と生」を見ると、彼のこれまでの美意識や表現手法は一変していて、新しい色彩感覚の大きな変化の中に、時代の流れと共に、かつて成功を収めた独自の金箔を使用した描写法を手放し、新たな境地を見出していたようにも思えます。

本作は、制作された当初は従来のやり方で、金色に彩られていたそうですが、しばらく経ってから暗い色調で塗り変えられていて、自身の死を予期していたのか、彼の心の奥底に秘めた死に対する恐怖や不安感を感じます。何処か書斎や図書館などのひっそりとした静かな空間でリラックスしながら眺めたい作品です。

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