絵画販売ドットコムのブログをご覧いただきありがとうございます、ブログ担当の松田です。
今回はミレー「落穂拾い」について記載してみます。
この絵画はおそらく多くの方が、美術の教科書などで一度は目にしたことがある名画だと思います。
「落穂拾い」は農民画家と言われたミレーの最高傑作の一枚です。
描かれた麦畑は、はるか地平線まで広がるパノラマの真ん中で、三名の農婦が腰を屈めながら、刈り入れ後に畑に散らばっている落ち穂を拾っています。
この時代、キリスト教においては、刈り取った後の落ち穂は拾ってはならないとされていました。
しかし、彼女たちはおくで働く農夫たちから離れ落ち穂を拾っています。
これが何を意味するのか。
それは彼女たちの姿を良く見ていただければおよその推測はつくのではないでしょうか。
拾っているのは、女性のみ、それも決して若いとはいえません。
この落穂拾いで描かれている彼女たちは、未亡人だと言われています。
聖書によれば、刈り入れの際に落ちた麦の穂を拾うことが許されているのは貧しい孤児と未亡人だけなのです。
いうなれば、この光景というのは、キリスト教の神の慈悲そのものだと言えます。
それはきっとミレー本人が農家の生まれだったということもあるのだと思います。
だからこそ、彼は光の中で働く多くの農民たちを、美しく、力強く描くことができるのだと思います。
しかしこの作品はサロンで発表された当時は評論家から激しいバッシングを受けたのです。
評論家はこの作品を「貧困の三女神」、「秩序を脅かす凶暴な野獣」などと罵ったと言います。
発表された当時は革命の直後でもあり、貧しい農民を描くということは一種の社会運動だとみなされ、ミレーは富裕層から警戒されていました。
そんな批判と差別の中でも彼は農民を描き続けました。
ミレーは生涯農民の味方でありつづけました。
そんな弱者への慈悲の思いがこの「落穂拾い」という絵に込められているような気がします。
============================
絵画販売ドットコム(複製画)油絵の模写・通販
TEL:06-4792-8281 FAX:06-4792-8291
============================