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今回はコロー「モルトフォンティーヌの思い出」について記載してみます。
靄の画家といわれるジャン=バティスト・カミーユ・コローの数ある作品の中でも、随一の代表作といえるのが「モルトフォンテーヌの思い出」です。
この作品は1864年のサロンへの出品作品で、コローがこの時期に多く制作していたものが名称に「思い出」という名前を付けた回顧的作品です。
コローは中期から晩年までの約30年間に、自身の内面を写したかのような風景画を制作しており、当時最も大衆に人気のあった絵画の一つでした。
中でも「モルトフォンテーヌの思い出」は特に叙情的な雰囲気が非常に強くあり、サロンに出展した際には多くの人物から大好評を博し、皇帝ナポレオン三世の命により国家がこの絵を買い上げたことはあまりにも有名です。
絵の左側には若い女性と子どもたちが大地に咲く花や、朽ちつつある痩せおえた木に根を張った宿木を摘んでいます。
その反対側には一本の巨大な木が悠然と数多の枝を広げていて、コローが画家として後年に獲得した抑えられた色調による独特の色彩表現や、柔らかな幻想性と即興性の混在する大気の描写に、銀灰色を帯びた鈍色に輝く独自の光の表現はまるで夢のような、記憶の彼方の情景のような世界を生み出している。
この作品は特にその効果がおしみなく発揮されており、絵画を見る我々にある種の望郷心を抱かせます。
また左右での明確な造形的対比を表しているこの作品の持つ写真的な構図展開には、同時知識人たちに浸透し始めたジャポニズムの影響を受けていると言う研究者もいます。
コローの幻想的な世界の要素に当時の日本の影響を受けているというのは驚きですが、その日本の息吹がよりコローの世界により幻想性を与えているのだと思います。
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