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今回はミレー「落穂拾い」について記載してみます。
ジャン=フランソワ・ミレーは19世紀を代表するバルビゾン派の画家です。
バルビゾン派は、パリのフォンテーヌブローの森のはずれで風景や農民の風俗を描いた画家の総称で、今回紹介させていただく「落穂拾い」もその例にもれることなく、収穫の際残された落穂を拾う姿が描かれています。
本来収穫とは丹精込めて育て上げた穀物を刈るという、農家にとっては一大イベントのはずですが、この絵にはそこはかとない哀愁が漂っています。
落穂拾いの本来の意味は、穀物を収穫する際に取りきれなかった穂を拾い集めることですが、ここでの意味はただそれだけではありません。
旧約聖書「レビ記」には「穀物を収穫するときは、畑の隅まで刈りつくしてはならない。収穫後の落穂を拾い集めてはならない。これらは貧しい者や寄留者のために残しておかなければならない」とあります。
つまりここで描かれている女性たちはこの畑の持ち主ではなく、自らの労働で十分な成果を得ることができない貧しい人々ということになります。
この絵から感じる物悲しさは間違いではありません。
しかしこういった真実を描くことは、どの国でも一定の批判を招くもので「貧困を誇張している」などと揶揄されたこともあったそうです。
ミレーが助け合いの精神に魅力を感じたのか、ただ目の前の光景を描きたかったのかはわかりませんが、我々にとってはありのままの歴史として残すか、真実をひた隠しにして綺麗なものを語り継いでいくか、考える材料としてもよい作品と呼べるのではないでしょうか。
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