ウィリアム・ターナー 「解体のため錨泊地に向かう戦艦テメレール」

絵画販売ドットコムのブログをご覧いただきありがとうございます、ブログ担当の松田です。
今回はジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー「解体のため錨泊地に向かう戦艦テメレール」をご紹介します。

イギリス最大の風景画家のひとり、ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775~1851)。
ロンドンのコヴェント・ガーデンに理髪師の子として誕生しました。

ターナーは学校教育もほとんど受けず、特異な環境で少年時代を過ごしたようですが、13歳の時、風景画家トーマス・マートンに弟子入りし絵画の基礎を学びました。
その後1年ほど修業したターナーはロイヤル・アカデミー附属美術学校に入学。
1797年にはロイヤル・アカデミーに油彩画を初出品し1799年には24歳の若さでロ
イヤル・アカデミー準会員となり、1802年に27歳の時には同・正会員となりました。

そしてご紹介の作品は11838年9月6日にマーゲイドから帰途している途中に見た光景を描いた、ターナーのロマン主義的な作風がよく表れている代表的な海景作品のひとつ「解体のため錨泊地に向かう戦艦テメレール」です。

大英帝国の栄光のシンボルである戦艦テメレール号が、後に廃艦となって解体のために最後の停泊地に曳航される様子を描いたものです。

戦艦テメレール号の最期をたたえるかのように、夕陽が戦艦テメレール号を照らしながら、少しづつ、少しづつ、沈んでいく様子が伝わってくるように感じられます。

また本作が制作される前年(1837年)にロイヤル・アカデミーの教授職を辞したターナーの栄光の日々の終焉を、当時は最新鋭で幾多の重要な任務に就いた戦艦テメレール号が、使い古され破棄される存在となったことと自分の心情を重ねたとも解釈されています。

圧倒的な自然の強さや雄大さを表現した本作の燃えるような太陽の光輝の美しさは画家の作品の中でも特に秀逸の出来栄えであるでしょう。

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