1つの場面に流れる様々な空気

僕は昔、ドガの絵画を見に行ったことがあります。
(恥ずかしながら、いつ、どこで、開催されたのか、憶えていませんが。)
それまで、ドガといえば、代表作の『エトワール』が有名で、
何となく「踊り子の画家」という
華やかなイメージの画家と思ってました。
しかし、作品を目の当たりにすると、
特に、人物の描写は、デッサンの上手さと相まって、
華やかさより、生々しさすら感じられました。
バレエの授業』は、そんな、どちらかといえば、
バレリーナの少女たちの、稽古中の雑然とした
人間模様が伺える作品であります。
バレエの授業
バレエの授業
この中の絵の少女たちは、隣の子と雑談したり、
衣装を直していたりし、犬が稽古場にいたり、実にリラックスした空気が、
この稽古場には流れているんだな、と思いきや、
振付けの大先生に指導されてる、画面中央の
女の子の真剣な、まなざしも逃すことなく描かれていて、
同じ空間に、違う空気が流れている様子が、
巧みに、絵画の世界で表現されています。
普段の日常生活の中にも、そういったことはよくありますよね。
あまりにも何気ないので、あえて描こうとも思わないことを、
ドガという画家は、好んで描いている人であります。
絵画販売ドットコム

関連記事一覧

アーカイブ

2010年4月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
PAGE TOP