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今回は佐伯祐三「煉瓦焼」について記載してみます。
この「煉瓦焼」は、佐伯祐三が日本からパリに移り住み積極的な創作活動をした後に、友人らと写生旅行に出かけ、パリ近郊にあるヴィリエ・シュル・モランに滞在していた頃に描かれた作品です。ヴィリエ・シュル・モランでは、パリでの作品のような洗練され感覚的な線描で、緊張感の漂う感じと違い、田舎らしい素朴で味わい深い建物など、いくつかの作品が描かれましたが、「煉瓦焼」はその中でも傑作として高い評価を得ている作品です。
佐伯祐三らしいと言える独特の線は、パリの頃よりも太く力強く、その線によって形づけられている建物も、どっしりと味わい深い表情の作品に仕上がっています。空の青、煉瓦の赤、はっきりと太く黒い線といった強い色使いの組み合わせが、鮮やかさを際立たせ、全体的に不思議なあたたかみや親しみやすさが漂っています。リビングや生活スペースの中に飾っても、どっしりとした安定感の中にやさしい温かみを感じさせてくれる作品です。
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