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今回はクリムト「アッター湖の島」について記載してみます。
晩年に制作された「アッター湖の島」は、クリムトの絵画の特徴でもある、金箔を使用して描く官能的で美しい女性のヌードではなく、まるで印象派画家が描いたような作品に仕上げられていて、その作風の大きな変化には思わず驚嘆してしまいます。十九世紀後期のどこかアンニュイな雰囲気に包まれた時代のウィーンでの煌びやかな女性達との出会いやその関係から生まれたであろう数々の作品の多くは、豪華絢爛な黄金の色調で彩られていて、どの作品からも、クリムトの女性への賛美や敬慕の思いが伝わって来ます。
しかし、本作には妖艶で魅力的な女性の姿は全く無く、ただ静かに水面に反射する陽光の動きだけが感じられ、クリムトが長い間所有していた別荘近くの湖の畔が作品の題材になっています。若き日に情熱を注ぎ込み、傾倒していた象徴主義を離れた晩年のクリムトは、どこか懐疑的な色彩感や筆触を特徴としていた印象主義に安らぎを見出していたのかもしれません。何処か静寂感の漂う本作は、病院のエントランス付近や待合室などの空間をより穏やかな雰囲気に演出してくれるでしょう。
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