レオナルド・ダ・ヴィンチ「聖アンナと聖母子」

絵画販売ドットコムのブログをご覧いただきありがとうございます、ブログ担当の松田です。今回はレオナルド・ダ・ヴィンチ「聖アンナと聖母子」について記載してみます。

レオナルド・ダ・ヴィンチ「聖アンナと聖母子」稀代の天才にして、芸術だけでなく、科学などにも精通したことで知られるレオナルド・ダ・ヴィンチの作品である「聖アンナと聖母子」。
この作品は未完成の大作と知られ、完成していれば間違いなく最高傑作の一つとして数えられていたと言われる作品です。この作品はマリアの母アンナの膝に聖母マリアとキリストを抱くという、これまでの絵画に置いてあまり例のない構図で描かれた作品です。描かれたのはレオナルド二度目のミラノ滞在中で、当時のフランス国王であったルイ12世の為に制作された作品だと考えられています。

未完成であるとはいえ、人物のやわらかくも甘美さを併せ持つ表情やスフマート(透明な色彩を重ねてグラデーションさせた技法)で描かれる卓越した表現技法などから、多くの画家がこの作品を模写しています。
背後に連なる山々はレオナルドが見出した「空気遠近法」が使われています。

幼いキリストに手を差し伸べ抱きあげる聖母マリアは、夫になる聖ヨセフとの婚約中に、大天使ガブリエルからの受胎告知を受けるとされています。
五世紀前半より聖キリストの母や無原罪の女性として信仰の対象でもあったマリアの表情は、幼きキリストを母として慈悲にあふれています。

また聖母となった娘、神の子、救世主として生まれた孫を見つめる聖アンナの表情にも深い情愛と愛しみが表れています。
それは紛れもなく聖母マリアの母という神聖性にふさわしい穏やかさと慈悲に満ちたすばらしい表情をしています。ですが、この作品は救世主や聖母、聖人を描いたのではなく、孫と母と祖母という家族の仲睦まじいさまを描いているものだと思います。なぜなら、聖人を描くとき本来描かれるべき光輪や後光等が描かれていないからです。

レオナルドの作品で聖人に光輪などを描かないということはありましたが、この作品は特にそれに代わるものなども無くただの人間の様に描かれています。レオナルドは人の愛の深さ、家族の愛の美しさを描こうとしたのではないでしょうか。

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