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今回はゴーギャン「神の日(マハナ・ノ・アトゥア)」をご紹介します。
ポール・ゴーギャン(1848年-1903年)はフランスの後期印象派を代表する画家で、近代絵画様式の確立者のひとりでもあります。
熱烈な共和主義者のジャーナリストである父と母の間にパリで生まれました。
翌年、フランス第二共和政が危うくなると、一家で南米のマリへと逃れ、航海途中で父が急死。
1855年までリマで過ごすも、祖父の死により、遺産相続のためにパリへと帰国。
幼少期の南国リマでの体験が、後年のタヒチ移住への重要な役割を果たすことになります。
神学中学校を卒業後は水夫として主に海上で過ごし、1871年(23歳)からは株式仲買商ベルタンの店に勤め、才能を発揮。
また同年から絵画を本格的に学び始めました。
1888年にはゴッホの誘いを受け、南仏アルルを訪れるが、二人の共同生活はゴッホの耳切り事件などもあり、わずか二ヶ月で終止符を迎えました。
耳切り事件については近年、二人が馴染みの娼婦を巡って口論となり、激昂したゴーギャンがゴッホの耳を切り落としたとする新説が唱えられています。
そして後年はタヒチで、肉体的、精神的、経済的、家族など数々の困難に見舞われるも最期まで精力的に制作活動を行ったのです。
「ゴーギャン神の日」はゴーギャンがタヒチ滞在(1891年-1893年)での制作活動で金銭的にも精神的にも行き詰まりを感じ、個展を開催しようと一時的にフランスへと帰国した時に制作された考えられています。
この作品では、後ろで手を広げているのが月の神。
水際には「誕生」(身体の前面をこちらに向け小さく横たわる者)、「生」(水辺で髪を梳かす女性)、「死」(背中を向けて横たわる者)の一生を表す3人の女性が描かれています。
明確な輪郭と平塗りの平面で形と色の総合を目指しており、神秘的で奇抜な色彩表現、特に前景の水辺が素晴らしいと感じられます。
ゴーギャンが抱いていた死生観や人生への不安など精神的心理を見出すことができる作品ではないでしょうか。