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今回はルドン「輪光の聖母」についてお話したいと思います。
オディロン・ルドンは19世紀-20世紀を生きたフランスの画家です。
時代的に象徴主義に分類される事も多い画家ですが、他の象徴主義の画家が光の効果を用いて日常的な風景を表現したのに対し、ルドンはモノクロの世界にうごめく幻想的な世界を表現していた異質の画家とも言えます。その独創的で孤高で神秘的な作風から象徴主義の文学者達から厚い支持を受けていました
その様に独自の世界を切り開いていったルドンも50歳を過ぎた頃、突如黒のみで描かれた版画から色彩豊かな画風へと変化していきます。
「輪光の聖母」は作品に色彩を加えるようになった直前、または直後に描かれた作品とされています。
深い青に包まれた夜の水辺に浮かぶ小舟、その中でたたずむ輪光の光に包まれた聖母マリア。
聖母マリアは輪光にうっすらと輪郭だけ照らされているだけで、表情もしぐさもまったく見ることができません。また小船の先付近から黄金の草の芽のようなものが右側へと伸びており、聖母の乗った小船の行き先を示している様にも見えます。
他の宗教画とは違い、この絵に存在する圧倒的な静けさは、ある種見る者に不安を要素を感じさせますが、明部と暗部を極端に対比させ、深い闇の静けさの中にある眩い光に照らされる聖母、不安な幻想性がいっそう印象を強くして聖母マリアの神秘性を際立たせているのではないでしょうか。
静寂を感じさせる深い青の色彩の中に浮かぶ眩い光、それらの強い対比の表現は見る者に心象的な感動を惹き起こしてくれます。
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