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今回はモディリアーニ「ジャンヌ・エビュテルヌの肖像」について記載してみます。
モディリアーニは35歳で亡くなる短い生涯において、肖像画や裸婦画を描き続けました。静物画はなく風景画も4点のみで、人物たちもモデルを使わずほとんどが知人や友人たちであり、服装も普段着で平服でした。人物を単独で描きモディリアーニの交遊録が垣間見えますが、なかでも彼の子を産んだ若き画家志望の女性、ジャンヌの絵「ジャンヌ・エビュテルヌの肖像」は24点にも及びます。
顔と首が不自然なほどに長く、目はアーモンド型で瞳は描き込まないのが特徴ですが、首の傾げ方の強弱や暖色寒色の色使い、腕と手の位置など微妙な方法で人物の心情を描き分けていました。身体のラインは女性らしく誇張された曲線で表現され、特に下半身が大きく安定した体型は母性を感じさせます。背景はほとんどが単純なものであり時に扉を好んでいたようです。ジャンヌの人物画はやさしさと静かな美を持つデリケートな迫力をもって私たちに迫ってきます。
ユダヤ人であるとの理由でモディリアーニとの結婚を許されませんでしたので、そのためか作品後期の憂いを秘めたジャンヌの姿は時に妖精のようなはかなさで未来を暗示しています。
人物画は店舗など人の集まる場所に飾ることで賑わいを感じさせますのでおすすめです。
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