モリゾ「ニースの港」波の表現

絵画販売ドットコムのブログをご覧いただきありがとうございます、ブログ担当の松田です。
今回はモリゾ「ニースの港」波の表現について記載してみます。

モリゾ「ニースの港」」印象派の女流画家であるベルト・モリゾの代表作的な風景作品の一つであるニースの港を描いたこの作品は、モリゾの愛娘ジュリーの病気の療養として1881年から1882年までの約一年滞在していたフランスの南東部に位置する温暖ですごしやすい気候でも知られる都市ニースの港を描いたものです。
この作品はわずかに右に傾いています。
それは娘のジュリーが言葉に残した、ボートの上から見た視点で描かれている為に波の影響を受けた結果わずかに傾いてしまったのだと言います。
作品の半分以上、三分の二が海面に占められています。モリゾがこの船から見る海面の景色を表現する事にどれだけ興味を持ったかが顕著にうかがええる構図です。
それは、左上にささやかに描かれている空の描写にも表れています。特に中央の船から手前にかけての波の表現は、モリゾ独特の荒々しさと自由闊達な筆づかいが顕著に表れています。
水面に映り込むニースの街並みや風景の抽象的な表現は、印象派の画家の中でも非常に前衛的で、また非凡で類稀なる独自性を兼ね備えています。
画面の中央の船よりも上部に視線を上げると、港と港町の風景の中にも港へ停泊する複数の連なる船による水平さを強くするとともに、勇壮さを表しており、南フランスの雰囲気を感じさせる白い壁と褐色の屋根を持つ家々の表現は目を見張るものがあります。
モリゾはその後もニースで多くの作品を描いています。

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